ゆったりした時間が流れる昭和の食堂、ママさんのご健勝を願う う月食堂@札幌市
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日本中から消えつつある大衆食堂。
そんな大衆食堂が愛おしいとんちゃんです。
この日は、札幌の狸小路にある老舗の食堂に伺いました。
狸小路7丁目の西角にある「う月食堂」さん。
「うづき」食堂、じゃなくて「うげつ」食堂とお読みします。
おや?「らーめん赤星」さんのお隣だったはずが、間にお店が1軒増えている。
お店の間口を約半分に削ったようです。
【ようこそ札幌へ 恙なき旅を う月食堂】
難しい読みの「恙なき(つつがなき)」とは、「無事に」という意味。
いつ書かれたものか、円柱形の看板が入り口脇にはひっそりとあります。
開け放たれたドアの向こうに、料金が消されたメニューが掲げられています。
そば・うどん、ラーメン、定食、丼物、カレーライスにオムライス。
まさに大衆食堂のラインナップがそろっています。
その前を通って、お店に入りましょう。
お店にいらっしゃるのは、ご高齢のママさん1人。
順番に料理をつくるけど、ご高齢ゆえ、料理が提供されるまで時間がかかります。
時間に余裕のない方は入店されない方がいいです。と、余計なアドバイス。
店内は、テーブル席が2人掛け3卓、4人掛け1卓。
おっと先客がいます。学生らしき若い女性が1人。
お若いのに、シブイ女性だなぁ。
ママさんは、その彼女の料理を厨房で作っている様子です。
「すみませーん!」などと声を上げず、席でしばらく待ちましょう。
女性の料理を出した後で、ママさんが冷たい麦茶を出してくださいました。
サッポロビールじゃありませんよ。(*^^*)
テーブル脇にメニューが張れています。
カレーライス550円とか。安いなぁ。
壁に貼られたメニューの紙は、すでに茶色く変色しています。
こんな色になるまでの長期間、料金が変わってないってことですね。
ビール500円、焼酎・日本酒300円も、安いな。
食堂のラーメンやカレーライスも気になるなぁ。
でも今日はオムライスで行きましょう。
厨房に入ったママさんが、ゆっくりと時間をかけて料理を作ります。
◆オムライス
まずはお味噌汁をひとくち。豆腐とワカメのみそ汁です。
オムライスは、薄焼き卵がかかった、食堂スタイル。
ケチャップのかけ方が粗雑?
いえいえ、チューブの細い口から何度も往復させてかけたんですね。愛情を感じますよ。
中に入ったケチャップライスは、ケチャップいっぱいのシットリ系。
あぁ、昭和のおふくろの味だぁ。(*´▽`*)
中には、鶏肉がいっぱい入っています。
ケチャップライスのポーションがしっかりあって、ボリュームも十分。
オムライスの脇に、ショウガの甘酢漬け。
自家製のようで、これが美味しい。
そしてデザートのナシとミニトマトが添えられています。
ここまでして700円とは、グッドプライスです。
ママさんといろいろとお話ししました。
壁に、額に入った写真が何枚も張られています。
写真家らしい常連の客が勝手に張っている写真なんですって。
それらのモノクロの写真たちは、とっても不思議な画像です。
フクロウの写真。と思うと、アーチ状の鉄骨がかぶり、さらに後景には山が重なっています。
おじいさんのすぐ脇にクマ!
植物の枝、と思ってよく見るとJALの飛行機が牽引されています。
2つ、あるいは3つの写真を重ねた、面白い写真たちです。
古い住宅地図が貼ってありました。
左端の「平和軒」が、今あるお店の場所。
その右の方にある「マロニエ」が、昭和10(1935)年に前代が創業した喫茶店。
昭和28(1953)年4月に今の場所に移転し、食堂としてオープンしたそうです。
食堂開店にあたって、ご主人が店名を熟考した。
開店する4月の異称は「卯月(うづき)」。その年の3月に映画「雨月(うげつ)物語」が封切られた。そこで「う月」を「うげつ」と読ませることにしたそうです。
ドリンクにコーヒーはありませんが、ショーケースの中には喫茶店時代のコーヒーカップが飾られていて、常連さんが時間のあるときにはサービスでコーヒーを出すことがあるそうです。
ご主人が亡くなられママさんだけで営業するようになったので、1人でできる範囲にお店を縮小したそうです。これからも健康のために身体が動くうちはこの食堂を続けるって。
ご高齢のママさんのペースに合わせて、時間に余裕を持ってお店に入りましょう。
そしてときには、お話好きのママさんとお話して、ゆっくりと時間を過ごされてはどうでしょう。
今回は食事時間は別にして1時間ほどママさんとお話しさせていただきました。
ありがとうございます。
ママさんどうぞお元気で、少しでも長くお店を続けて下さいませ。
ごちそうさまでした。
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