美唄焼き鳥の歴史
昨日の記事は「美唄焼き鳥」のお店「福よし」さんでのランチでした。
「美唄やきとり」は、炭鉱の町として栄えた北海道美唄市発祥のやきとり。
普通の焼き鳥は、1本の串に1種類の鶏肉やモツの部位を刺してあるから、メニューが多種。
ところが美唄やきとりのメニューは、「精肉」(胸肉)と「もつ」のたった2つ。
その「もつ」が変種で、湯通しした鶏の各部位を1本の串に刺してあるというもの。
鶏のもも肉、皮、そしてモツが1本の串になっている。
しかもネギは、長ネギではなく、北海道名産のタマネギを使っている。
その「美唄焼き鳥」の歴史について整理してみました。
(わからないことが多いので、一部は推測です。)
まず、「美唄」というのがどこにあるのか。
そこから始めましょう。
(MapFanを加工)
札幌市の北東、岩見沢市のお隣に美唄市はあります。
札幌駅からJRの快速を使って、1時間10分前後のところです。
美唄市は、三菱鉱業・三井鉱山の炭鉱の町として栄え、1950年代には9万人の都市になりました。
しかし70年代に炭鉱の閉山が続き、いまでは2万3千人の市になっています。
炭鉱で栄えた1950年代に「美唄やきとり」が誕生しました。
そのルーツは焼き鳥屋「三船」。
(津島軽便堂写真館を加工)
美唄駅から三菱美唄炭鉱まで三菱鉱業美唄鉄道線(美唄鉄道)がありました。
沿線の東美唄地区には3万人の人口があったそうです。
我路には美唄鉄道の我路駅もあり、商店や旅館、飲食店、劇場まである市街地でした。
その我路で、三船福太郎氏が焼き鳥屋「三船」を開店。
内臓や肉を一本の串に刺したスタイルの焼き鳥を出した。
これが「美唄焼き鳥」の始まりです。
(開店が戦前だという情報もあるが、屋台ではないだろうか。)
しかし1960年台から炭鉱の閉山が続き、1973年には三菱美唄炭鉱が閉山。
前年の1972年に美唄鉄道も廃止される。
この頃に三船氏は店をたたみ、「三船」を弟子の柳谷常雄氏に譲る。
その時期は1970年頃か?。
そして美唄鉄道が廃止される頃には「三船」もどこかへ店を移転したはずです。
三船氏は美唄駅近くの「銀座街」に焼き鳥店「福よし」を出しました。(1970年ころ?)
店名の「福よし」は、三船福太郎の「福」、妻・ヨシさんの「ヨシ」を取ったものだそうです。
「福よし」は、三船氏の息子を経て、1990年から城野夫妻氏が経営。
今は女将さんが店主です。
そして長男の祐司氏が2003年に(有)エスパシオを札幌に設立して、札幌市内に多店舗展開し、東京にも進出する。
東京は、2010年に銀座、2012年に日本橋に支店ができますが、今では昨日の記事の虎ノ門店だけがあります。
「福よし」は、こうして三船氏直系のお店なので【元祖美唄やきとり】の看板を掲げています。
他方、「三船」はいくつかのお店があります。
三船2代目の柳谷氏は、「三船」の看板を暖簾分けしたのでしょう。
岩見沢市の「やきとり三船 四条店」。
※柳谷常雄氏が移転した店は、これらしい。柳谷氏の孫娘夫妻が経営。
(食べログ:三船 四条店)
岩見沢駅前の「やきとり三船」(現在の店主は太田幸一氏)は、1965年創業。
⇒やきとり三船:http://www.iwamizawa-town.gr.jp/~mihune/
美唄市の「味心三船」(店主・阿部貞敏氏)は、現在は「福よし」の向かい。
「三船 峰延店」は次に紹介する鳥乃家のお店です。
(経営者は三船氏の孫らしく、それで「元祖」。でも暖簾分けではないのでは?)
⇒元祖美唄焼鳥 三船:http://bibai-yakitori-mifune.com/
1968年創業の「たつみ」は、「三船」2代目店主・柳谷氏の弟子・藤本正明氏が開店したもの。
(我路時代の三船で柳谷氏に師事したのでしょう。)
現店主の藤本和己氏は、「美唄やきとり組合」組合長、「全国やきとり連絡協議会」(略称「全や連」)理事で、大手町にある「全や連総本店」にも店を出している。
⇒たつみ:https://www.bibai.net/tatsumi/
⇒全や連総本店:https://zenyaren.jp/
「鳥乃家本店」の飯坂恵子氏も柳谷氏の弟子で、1985年に持ち帰り店の「三船 峰延店」を開店。
(岩見沢の三船で柳谷氏に師事したのでしょう。)
飯坂氏は、その後1990年に「鳥乃家本店」を開店しました。
いまは(有)鳥乃家(現社長は息子の大村篤司氏)が、「鳥乃家本店」と「三船 岩見沢店」と持ち帰り専門の「三船 峰延店」を経営しています。
「鳥乃家」の焼き鳥は、胡椒を使わずに、塩だけで味付けしているそうです。
⇒鳥乃家本店:http://www.torinoya-bibai.com/
参考資料:
⇒Pipa ピパ 美唄 - 美唄焼き鳥ガイド:http://www.pipaoi.jp/specialedition/yakitori/
⇒Pipa ピパ 美唄 -国道を走る車が惹き寄せられる持ち帰り専門店
⇒Pipa ピパ 美唄 -味の決めては、塩と炭。師の教えを今に伝える
⇒Pipa ピパ 美唄 -先代の信用に新たな20年を積み重ねる美唄焼き鳥老舗の味
⇒朝日新聞デジタル:美唄焼き鳥
この記事へのコメント
http://www.nikkeyshimbun.jp/2019/190801-73colonia.html
ブラジルのニュース....
ブラジルは日系人が多いですからね。
暑い8月に、なんでラーメン?
なんて思うけど、ブラジルの8月は冬ですからね。
北海道ラーメンといいつつ、麺は広島から。なんでだろ?
http://www.nikkeyshimbun.jp/2019/190912-71colonia.html
北海道物産展を14、15日に=本場から届いた名産品40種類=10年ぶり、今しか買えない品々
2019年9月12日
サンパウロなら昆布やワカメは手に入るけど、国産や北海道産はなかなか手に入らないでしょうからね。
味噌味のインスタントラーメンが、マルちゃん(東洋水産)!
サッポロ一番がベストと思っていました。
でも赤味噌っぽい味が変わってしまって、今では確かにマルちゃんが一番と思います。